おっぱいノイローゼになって気づきました

母親と、夫と、子ども。そして自分とのこと。

里帰りの話「これは強化合宿か?」

出産後、母乳が全く出ないことに悩んでいた時に

いつも脳みそに張り付いていたのは「母親の声」だった。

 

目次

 

 

脳みそに張り付いていた声 

「母親失格ね」

「そんなんじゃ子どもは育てていけないわよ」

「はあー、もう見てられない、お母さんに貸しなさい」

 

助産院の部屋の中。

そばには赤ちゃんしかいないのに

私を責める声が、ひっきり無しに、聞こえる。

 

助産院にある赤ちゃんの人形を借りて、抱っこの練習をした。

抱っこが下手だったり、危なっかしい場面を見せてしまうと

母親に赤ちゃんを取られてしまう、と思っていた。

脳みそに張り付いた声を

自分でベリベリと剥がすのは難しかった。

 

里帰りをしたくなかった

退院前夜、助産師さんたちの前で泣いていた時に

「里帰りしたくない」と言った。

 

「じゃあ、しなくていいわよ。

あの旦那さんなら、2人でもやっていけるよ!」

と声をかけてもらった。

 

子育ては本当に大変で想像以上だ。

新米パパママだけでは困ることも出てくるから

自分たちでやろうとしなくていい。

できる限り色んな人を頼った方がいい。

 

これは色んな場所で、もちろん、この助産院でも言われ続けていたことだ。

でも「あなたたちなら2人でも頑張れるよ」と励ましてもらったことで

気持ちがすごく軽くなった。

 

駆け落ちする恋人や、10代で母親になる人たちも

きっとこのような励ましに鼓舞されるんだろうなと

そんなことをぼんやり考えていた。

 

実際、どう行動するかは別としても

「自分はいつだって選択できるのだ」と

気づくことで勇気づけられる。

 

しかし、私は里帰りを選んだ。

やはりどこかで、「帰らない」という選択肢は

自分にはないような気がしていた。

 

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母に恥をかかせるということ

花が生けてある立派な玄関で、出迎えてくれた母は笑顔だった。

この笑顔が見れてよかった。

私がもし帰らないと言っていたら大変なことになっていただろう。

「恥をかかされた」と真っ赤な顔をして怒る母親を見なくて済んだことに

ホッとしていた。

 

しかし、一つ母は恥をかいていた。

助産師さんから「母乳育児は人の目があるとプレッシャーに感じることもあるので

娘さんに任せてあげてください。」

と言われたことを面白くないと感じていたようで

もう、小言が止まらないのだ。

 

実家に帰り、私が赤ちゃんにおっぱいをあげる。

その横で母は正座をして、私たち親子をうちわであおいでいる。

覗きこむようにおっぱいを見ている母を、なるべく見ないようにした。

なるべく見ないようにするが、厳しい表情で見つめていた。

母は時々、私の乳首を引っ張り、「出てるわね」と確認をした。

 

もう我慢ができない。

 

「助産師さんになんて言われたか覚えてる?」

 

私が聞くと、瞬間的に、怒りで燃え上がった母は言った。

 

「他人が全く、失礼よね」

「私たち親子のことなのに」

 

母が私たちのことを「親子」と言ったので、私はギョッとした。

 

親子。

親子のこと。

親子だから、なんなんだ?

 

私の中にそういう想いはなかった。

 

この人と、私は親子なのか。

私はこの目の前の赤ちゃんと、どういう親子になっていくのだろう。

 

自信がなくて、消えたくなった。

 

母の親切

母はいつも、私に嫌がらせをしているんだと思っていた。

小さい頃から、割とずっと、思っていた。

 

私が何をされるのが嫌か知っていて、あえてやっている。

私が何をしてほしいのか知っていて、あえてやらない。

 

この里帰りは、強化合宿のようだった。

里帰り中の話を、年配の方にした時に

「お母さんは応援していたのね」と言うもんで

私は心底びっくりした。

 

実際、母は自分のおかげだって言っていた。

おっぱいが出なくて大変だったけど

私が見てあげたおかげで

母乳で育てられたから、よかったわね!と。

私が見てあげたのよ!と。

あのままだったら、苦労したわよ!と。

 

 

そうだ、私は、このズレが、ずっと辛かったのだ。

 

母親が「やってあげた」「自分は感謝されて当然」と思っていることは

私にとって迷惑であることが多かった。

 

娘が迷惑だと思っていることを知ったら

母は怒るだろうか。

血の涙が出るようだわ、と大げさなことを言って

いつものように泣くのだろうか。

 

そうだ、母はいつも自分は被害者だと言って泣いた。

 

こんなにも大切にしてあげたのに・・・

こんなにも色々なことをしてあげたのに・・・

恩知らず!

恩を仇で返された!

恥を知れ!

親の言うことがわからないなら出てけ!

 

獲得した学習能力

私は私の感情を外に出してはいけない。

本当のことは言ってはいけない。

そして、この母親のように感情がコントロールできない人は

きっと誰とも本当の意味で繋がれない。

私が母と繋がっていないと感じているように。

私は、自分の感情を操れるようになろう。

 

 

私は小さいときから、こう学習していたのだ。

でもこれは本当に正しいのか?

 

 

今の時点で思うこと。

それは感情からしか本当の自分の願いとは繋がれない。

本当の自分と繋がらないと、人とも繋がれない。

私も相手も、感情を押し殺す必要なんてない。

 

じゃあ、どうするか?

私は人と深く繋がりたかった。

家族と深く繋がりたかった。

 

こうして私は子育てをしながら

自分の感情と、自分の育ちについて

向き合っていくことを決めたのだ。